「処分基準」とは、行政庁による不利益処分(特定の名宛て人の権利を奪い(制限し)または義務を課す一方的な行為)がどのような場合にどの程度の重さで行われるかをあらかじめ示すことで処分の恣意や不平等を避けることができる基準のことをいう(行政手続法2条8号ハ)。
特定の行動や活動を行う際に従っておくべき基準などを示す指針のことをいい、行政庁の法令解釈などをふまえて具体的に示されるものが多い。
本件懲戒処分の根拠条文は刑事罰の対象となり得る条文であるところ、罪刑法定主義(憲法31条)の観点から、行為時に存在しない法律を後から策定して遡及して処罰することは、国民を萎縮させるものとして認められないとされている。
「代理人の資格がないのに事件に関与して報酬を得るいわゆる事件屋のこと」
従来は司法書士は訴訟についての法的助言や書類作成はできても、訴訟代理人となることはできなかったが、平成14年の司法書士法改正により、新たに法務大臣の認定を受けた司法書士については、簡易裁判所における訴訟代理業務が認められるようになった。
「弁護士会におかれる弁護士、検事、裁判官等の学識経験者からなる合議体(弁護士法70条以下)。懲戒請求がされた際には、まず、綱紀委員会が独立した立場で事案を審査する(弁護士法58条)」
非弁対策本部は、非弁防止会規6条に基づきベリーベストらに、調査協力義務を課して調査しているから、法70条の7に違反し、原綱紀委員会の独立性を侵害している。
具体的に述べると、まず、2017年2月8日の事情聴取の冒頭において、委員は、非弁防止会規6条の調査権と7条の調査協力義務を、わざわざ非弁防止会規をベリーベストらに示して説明し(会立件甲14・1頁)、また、会立件を基礎づける重要な証拠である審査請求法人と新宿事務所の間の業務委託契約書の提出について、「この要請は先ほど申し上げた調査要請でして、それについては先生方もその調査協力義務を負うという形になりますので、その点を心得てご回答願いたい」と調査協力義務を強調した(同2頁)。領収書や請求書等、審査請求法人から新宿事務所への金員の流れを証する証拠についても、調査協力義務を課したうえで、提出を求めた(同3頁)。
続いて、原弁護士会は、副会長鍛冶良明の名義で、2017年2月16日、非弁防止会規6条に基づき、調査協力義務を課して、以下の書面の提出を要求した(会立件甲2)。
1、永吉の事件移管に関して、審査請求法人が新宿事務所と取り交わした書面一式
2、永吉の事件移管に関する審査請求法人と新宿事務所の金銭授受を証する資料(請求書やその付属書類、審査請求法人の支払いが判明する書類など)
これを受けて、審査請求法人は、同年3月1日に、審査請求法人と新宿事務所との業務委託契約書(会立件甲10)、新宿事務所から審査請求法人への請求書、これに対応する発注書、その明細(会立件甲13)を提出した(会立件甲3)。
上記の業務委託契約書(会立件甲10)や請求書・発注書(会立件甲13)は、会立件を基礎づける証拠であり、このような重要な証拠を、調査協力義務を課して審査請求法人から徴収することは、本来ならば、弁護士会内の独立委員会である綱紀委員会又は懲戒委員会によらなければならない。
また、同年6月12日付けの調査協力要請書においては、「正当な理由なくして協力を拒んだ場合には本会会規違反行為として、懲戒されることがあります」と、会規7条の調査協力義務に違反した場合には、新たな懲戒事由になると圧力をかけた。
なお、会立件の2017年11月29日付け調査命令書3頁「第3事実関係の詳細」10項において、「本会は、2017年(平成29年)2月8日、被調査人酒井及び被調査人浅野に対する事情聴取を行い、これに基づき、同月16日、永吉の事件移管に関する資料の提出を要請した。」と記載し、続いて、11項では、「本会は、同(2017)年6月12日、本会非弁提携行為の防止に関する会規第6条所定の調査を開始すると共に、被調査法人に対し、同会規第7条に基づく調査への協力を要請した。」と記載し、あたかもベリーベストが任意に業務委託契約書や請求書・発注書などを提出し、その後、非弁防止会規6条に基づく調査が開始されたかのような表現をしている。
しかし、上記のとおり、実際には、同年2月8日の事情聴取が、非弁防止会規6条所定の調査であり、原弁護士会は、その調査に基づき、会員たるベリーベストらに、調査協力義務を課して、業務委託契約書及び請求書・発注書等の会立件を基礎づける重要な証拠資料を徴求したことが明らかである。
非弁防止会規6条に基づく調査を経てなされた会立件の調査命令書は、あたかも原綱紀議決書のように、ベリーベストらの主張を検討し排斥するという判断経過まで記載されているうえ、調査命令書と原綱紀議決書は、その内容がほとんど同一である。また、会立件においては、調査期日が開かれなかったばかりか、何らの照会もなく、一切の調査がなされなかった。非弁防止会規6条に基づく調査の段階で、本来は綱紀委員会で調査判断すべき事項が、すべて完了してしまっていたので、原綱紀委員会は何もしなかったと考えざるを得ない。以上のとおり、非弁防止会規6条に基づく調査が、原綱紀委員会の判断の独立性を侵害したことは明白である。
日弁連の懲戒委員会が審査庁となる審査請求による裁決を経てからでないと訴訟をていきできないという仕組みのこと(弁護士法61条2項:「第56条の規定により弁護士会がした懲戒の処分に関しては、これについての日本弁護士連合会の裁決に対してのみ、取消しの訴えを提起することができる。」)」
刑事裁判において、裁判官の役割と検察官の役割が分かれていない仕組みのこと。真実を解明し犯罪者を処罰することが裁判官の役割とされ、「裁判官対被告人」という構図となっている。
対立する当事者が出頭し、判断者(裁判官)の前でそれぞれの主張立証を行う方式。
行政手続法20条2項「当事者又は参加人は、聴聞の期日に出頭して、意見を述べ、及び証拠書類等を提出し、並びに主宰者の許可を得て行政庁の職員に対し質問を発することができる。」
行政不服審査法31条5項「口頭意見陳述に際し、申立人は、審理員の許可を得て、審査請求に係る事件に関し、処分庁等に対して、質問を発することができる」
弁護士法61条1項「第56条の規定により弁護士会がした懲戒の処分についての審査請求を却下され若しくは棄却され、又は第60条の規定により日本弁護士連合会から懲戒を受けた者は、東京高等裁判所にその取消しの訴えを提起することができる。」
従来は司法書士は訴訟についての法的助言や書類作成はできても、訴訟代理人となることはできなかったが、平成14年の司法書士法改正により、新たに法務大臣の認定を受けた司法書士については、簡易裁判所における訴訟代理業務が認められるようになった。
140万円というのは個々の債権の金額なのか、債権の総額なのかについて争いがあった。
総額説と個別額説の争いについては、2016(平成28)年6月27日のいわゆる和歌山事件訴訟の最高裁判決で、日本司法書士会連合会が主張していた個別額説が採用され、決着を見た(「上告人は,本件委任契約に基づき,本件各取引について裁判外の和解やその交渉をするなどの債務整理に関する業務を行って,これに対する報酬の支払を受けたものであるところ,本件各債権の価額はいずれも140万円を超えるものであったというのである。そうすると,上告人は,本件各債権に係る裁判外の和解について代理することができないにもかかわらず,違法にこれを行って報酬を受領したものであるから,不法行為による損害賠償として上記報酬相当額の支払義務を負うというべきである。他方,本件各債権以外の本件各取引に係る各債権については,その価額がいずれも140万円を超えないから,上告人は,当該各債権に係る裁判外の和解について代理することができ,これに対する報酬の支払を受けたとしても,不法行為による損害賠償義務を負わないというべきである。」)。
認定司法書士が代理権限を有しているのは簡易裁判所の事件のみであるから、控訴されて事件が地裁にいくと司法書士では代理することができなくなり、弁護士を探さなければならなくなる。
2014年12月頭に、弁護士や司法書士の業務コンサルティングを手掛ける株式会社船井総合研究所より、「新宿事務所が簡易裁判所に提訴したほぼ全ての案件について地方裁判所に控訴されていて、代理権外しをされている。地方裁判所での対応ができる弁護士の数が足りずに困っているので、一度、話を聞いてくれないか。」という打診がありました。その後、新宿事務所の阿部代表司法書士と齋藤副代表司法書士が当法人に来所し、詳しい話を聞いたところ、以下のとおりでした。
「2014年春頃から、大手貸金業者らが一斉に新宿事務所との過払金の任意和解交渉を拒否するようになった。新宿事務所はやむを得ず過払金返還請求訴訟を簡易裁判所に一斉提訴した。その数毎月数千件。しかし、勝訴判決を取得しても、ほぼ全ての案件について、地方裁判所に控訴され、代理権外しをされている。代理権超え案件は、付き合いがある複数の弁護士事務所に引き継いでいるのだが、案件の数が多すぎて既存の弁護士だけでは対応しきれない。そこで、債務整理事件を専門的に扱っている大手の弁護士事務所を紹介してほしいということで船井総研に相談したところ、ベリーベストの紹介を受けた。」
新宿事務所は、2008年の設立で、事務所開設以来、過払金返還請求事件に注力してきた事務所です。2014年頃には、多額の広告費をかけて、全国的に、「フリーダイヤル10、20、30」と連呼するテレビやラジオのコマーシャルを大量に流していました。その結果、当時は、新宿事務所の過払金返還請求事件の月間受任件数は1万件を超えることもあったと聞きます。当時、法律事務所でもっとも多く債務整理・過払金返還請求事件を取り扱っていたのは、弁護士法人アディーレ法律事務所ですが、アディーレの月間受任件数は5000件程度と聞いたことがあるので、新宿事務所は、アディーレの約2倍もの案件を受任していたことになります。新宿事務所が、そんなにたくさんの案件を受任するものですから、過払金返還請求を受ける側である貸金業者は、新宿事務所の勢いを抑えようと、あの手この手で対抗していました。その対抗手段の一つが、大手貸金業者らが徒党を組んで行ったこの代理権外しだったわけです。
貸金業者から代理権外しをされることで、依頼者は本人対応を強いられ、または自ら弁護士を探さなければならないことになってしまい、不利益が大きいことから、当法人は、依頼者からの委任を受けて、控訴審の対応をすることとしました。相当な件数の控訴審案件がありましたが、当法人が控訴審の対応をすると、間もなく貸金業者は控訴することを止めました。
消費者金融が任意に和解に応じる場合は、元本のみの返還となり、遅延損害金は支払われないところ、それらも含めて全額の回収を行う方針をとっていること。
司法書士は司法書士法に基づく有資格者であり、司法書士法とこれに基づく会則等の厳しい規律のもとで適法に依頼者から依頼を受けて、訴額や審級を問わず訴訟の書面を作成する権限を有し(司法書士法3条1項4、5号)、認定司法書士となれば、さらに訴額140万円までは自ら簡裁訴訟代理等関係業務(定義規定は司法書士法3条2項を参照)を行うこともできる(司法書士法3条1項6、7号)。
司法書士は司法書士法に基づく有資格者であり、司法書士法とこれに基づく会則等の厳しい規律のもとで適法に依頼者から依頼を受けて、訴額や審級を問わず訴訟の書面を作成する権限を有し(司法書士法3条1項4、5号)、認定司法書士となれば、さらに訴額140万円までは自ら簡裁訴訟代理等関係業務(定義規定は司法書士法3条2項を参照)を行うこともできる(司法書士法3条1項6、7号)。
弁護士などの代理人をつけずに当事者本人が自分で訴訟を提起・遂行すること。
一 戒告
二 二年以内の業務の停止2 弁護士法人に対する懲戒は、次の四種とする。
一 戒告3 弁護士会は、その地域内に従たる法律事務所のみを有する弁護士法人に対して、前項第二号の懲戒を行う場合にあつては、その地域内にある法律事務所の業務の停止のみを行うことができる。
4 第二項又は前項の規定の適用に当たつては、日本弁護士連合会は、その地域内に当該弁護士法人の主たる法律事務所がある弁護士会とみなす。
日弁連の懲戒委員会が審査庁となる審査請求による裁決を経てからでないと訴訟をていきできないという仕組みのこと(弁護士法61条2項:「第56条の規定により弁護士会がした懲戒の処分に関しては、これについての日本弁護士連合会の裁決に対してのみ、取消しの訴えを提起することができる。」)」
第61条1項
「第56条の規定により弁護士会がした懲戒の処分についての審査請求を却下され若しくは棄却され、又は第60条の規定により日本弁護士連合会から懲戒を受けた者は、東京高等裁判所にその取消しの訴えを提起することができる。」
このような糾問主義的な手続構造が採られる理由は、法第59条第2項で行政不服審査法の規定のうち審理手続の規定(第2章第3節)が適用除外されている一方で、日弁連は、懲戒委員会及び懲戒手続に関する規程に基づき、職権で証拠を提出させ、陳述、説明又は資料の提出を求め、対象弁護士を審尋することができる制度となっており(同規程第23条ないし第25条)、審査に当たって処分庁の出頭も省略できるとされているからである(同規程第40条)。つまり、日弁連の審査請求手続は、不服審査手続であるにもかかわらず、実際には取調べ手続を併用しているのである。このため、不利益処分の事前手続にすら全く及ばない手続とされている。
国民が法の適用に関してあらかじめ予測することができること。これがないと行動が萎縮してしまう弊害が出る。
行政庁の担当者によって、あるいは名宛て人によって同じ条件で異なる処分がされることがなく、同一条件の場合は同一に扱われること。
第61条
1 第56条の規定により弁護士会がした懲戒の処分についての審査請求を却下され若しくは棄却され、又は第60条の規定により日本弁護士連合会から懲戒を受けた者は、東京高等裁判所にその取消しの訴えを提起することができる。
2 第五十六条の規定により弁護士会がした懲戒の処分に関しては、これについての日本弁護士連合会の裁決に対してのみ、取消しの訴えを提起することができる。
東京地裁には行政専門部があり、行政法に通暁する裁判官による裁判を受けることができる。
「これらは、対価を支払う価値のある成果物又は役務でないとまではいえないものの、それに見合う対価がさほど高額になるとは考え難いものである。」
「しかし、過払金返還請求事件のうちでも、訴訟物ないし紛争の目的の価額が高額の事件については、取引期間が相当程度長くなり、取引当初の時期の取引履歴が保管されていなかったり、取引を中断している期間があったりして、困難な法律問題を含む事件が多くなることが一般的に想定されるのであって、当事者その他の関係人の利益保護を図る上で、司法書士の代理権限を認める範囲が比較的少額の紛争に限定されている趣旨を軽視することはできない。」
ある行為を処罰するためには、あらかじめ法律で、犯罪とされる行為の内容、及び科される刑罰を明確に規定しておかなければならないとする原則をいう。
複数の当事者の訴えを一つの訴えでまとめて提起すること。共通する論点をまとめることができ、さらに印紙代を節約できるが、訴状の作成にはその分手間がかかる。